宅地建物取引業法はどのような理由で作られたのか?2. 度重なる業法改正(3)
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ついに宅地建物取引業に免許制度が導入!
(4) 第4次改正 (昭和39年7月10日法律第166号、 議員提案)
昭和35年12月、政府は国民所得倍増計画を決定しました。
我が国の高度経済成長が本格化し、
人口と産業が都市に集中し
宅地建物に対する需要が一層増大しました。
宅建業者の数は
昭和39年3月末には3万3232にまで増加しました。
宅地建物取引は国民生活、
産業活動においてますます重要となり、
取引内容も複雑化しつつある反面、
悪質な業者の跋扈、業務規制の不備、
監督規制の不徹底等のため
取引紛争が後を絶ちませんでした。
そこで、宅建業者に対する業務規制と監督をさらに一層強化し、
業務の適正な連営と
宅地建物の取引の公正とを確保することにより
宅地建物の利用を促進するため、
免許制度を導入しました。
「改正内容」
① 宅建業法1条の目的
「宅地及び建物の取引の公正を確保する」 こと
② 宅建業法の規制範囲の拡大
用途地域内の土地(公共施設の用地を除く。)は、
すべて宅建業法上の宅地として取り扱うこと
③ 免許制度
登録制度を免許制度に改め、
免許を建設大臣免許と都道府県知事免許に区分
④ 宅地建物取引員を宅地建物取引主任者に改称し、 同資格試験に受験制限を設置
⑤ 営業保証金制度
購入者等の保護を図るため宅建業者が供託すべき営業保証金の限度額を撤廃
⑥ 業務規制の強化
建設大臣の定め(報酬告示)による報酬額の制限のほか、
報酬額の掲示、
従業者証明書の携帯、
業務帳簿の備付け、
現地案内所等の標識の掲示の義務づけ
⑦ 監督権限の強化
免許の取消事由、
業務停止事由を拡充。
行政指導の根拠規定、
報告要求・立入検査に関する規定を整備
⑧ 業界に対する指導、改善
宅地建物取引員協会に代えて都道府県ごとに
宅建業者を会員とする宅地建物取引業協会、 同協会を会員
とする同連合会を設置
(5) 第5次改正 (昭和42年8月1日法律第115号、 政府提案)
都市及びその周辺において宅地建物に対する需要は増大し、
取引件数も著しく増加しました。
宅建業者数の推移は、
昭和40年3月末3万8968 (個人業者77.3%)、
昭和42年3月末4万0300(知事免許業者99.4%、 個人業者74.4%)
購入者等の取引知識が十分でないことに乗じて、
悪質な取引を働く者が相当数見られました。
誇大広告により顧客を不当に勧誘したり、
チラシ広告で駅前案内所に願客を集め、
宅建業者がみずから売主となるのか
媒介業者になるのか知らせないまま
顧客を郊外分譲地に連れて行きました。
重要な事項を説明せず、
ロ頭での契約をいいことに後日異なる契約内容、
契約条件を主張するといった紛争が絶えず、
これらは取引の公正を著しく害するものでありました。
「改正内容」
① 業務規制の強化
誇大広告等の禁止、
取引態様の明示義務、
重要事項の説明義務、
契約成立後の書面の交付義務、
手付貸与の禁止等
② 監督権限の強化
宅建業者の業務の適正な運営を確保するため、
業務の運営の実態を把握し易い
立場にある所管知事に宅建業者に対する指示、
業務停止の監督処分権限を与え罰則規定も整備されました。
参考文献:国立国会図書館三訂版「逐条解説」宅地建物取引業法より
筆者:大脇和彦プロフィール
愛媛県松山市生まれ
マンションデベロッパー、会計事務所を歴して独立
不動産コンサルティングとエージェント業務が主体。近年は太陽光発電所開発運営も
趣味は、土地巡り・街巡り・山巡りを兼ねたドライブ(得意笑)、筋トレ(昔はオタク)
好きなこと言葉・・・積小為大、虚心坦懐