宅地建物取引業法はどのような理由で作られたのか?2. 度重なる業法改正(7)

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不動産バブルの崩壊により様々な問題が浮き彫りになってきました。

 

 

(11) 第11次改正(平成7年4月19日法律第67号、政府提案)

ア バブル経済の崩壊

 平成2年4月に地価高騰への対策として、

金融機関の不動産関連融資について総量規制が実施され、

これを機に同年秋以降地価の上昇が鎮静化しましたが、

それにとどまらず大都市圈では中古マンション、中古住宅の価格が大幅に下落しました。

 

平成3年10月頃から景気後退期に入り、

バブル経済の崩壞とその後の長期不況により宅建業者の倒産、 廃業が増え

(建設白書平成3年版)、 宅建業者数は、

平成3年度末14万4061 (個人業者25.6%) 、平成4年度以降やや減少傾向になり、

平成7年度末は14万1816(個人業者24.3%)となりました。

 

イ 改正理由

 不動産取引市場の閉鎖性、不透明性を払拭し消贊者の利益の増進を図るために

媒介契約制度の改正と指定流通機構制度の整備を行うとともに、

宅建業者等の適正な業務を確保する措置を充実し、

加えて各種業務規制の簡素合理化を行う必要がありました。

 

「改正内容」

① 媒介契約制度の充実と指定流通機構制度の整備

 専任媒介契約に係る物件情報の指定流通機構への登録を義務づけ、

指定流通機構を宅建業法上規定し法的位置づけを明確にしました。

 

② 業務規制の簡素合理化

 免許の有効期間を3年から5年に延長しました。

 

③ 業務の適正化

 免許基準、 宅地建物取引主任者の登録基準の追加、

契約成立前に説明すべき重要事項の簡素化・合理化、

契約勧誘に際しての断定的判断の提供の禁止等、 業務に関する禁止事項を追加しました。

 

④ 監督権限の強化

宅地建物取引主任者に対する指示処分の新設と監督強化のほか

監督、罰則の規定を整備しました。

 

(12) 第12次改正(平成9年11月21日法律第105号、政府提案)

宅地建物取引主任者証の有効期間を3年から5年に延長しました。

 

(13) 建築士が分譲マンションやホテル等の構造計算書を偽装して建築確認を受け

耐震構造を著しく欠くマンションが建設、分譲販売された構造計算書偽装間題が

平成17年11月に発覚しました。

 

 これを機に建築物の安全性を確保するため建築基準法等が一部改正され、

建築士等の業務の適正化、罰則の強化等の建築士法が改正されました。

 

 宅建業法は、瑕疵担保責任の履行に関する保証保険加入の有無等について

法35条1項の重要事項、法37条書面の記載事項に追加し、罰則罰金規定が強化されました。

 

 平成12年4月新築住宅については、

住宅の品質確保の促進等に関する法律(略称:品確法)が施行。

 

 平成20年4月1日資力確保の義務づけのための

特定住宅瑕疵担保資任の履行の確保等に関する法律(略称:履行確保法)が施行されました。

 

(14) 消費者庁設置関連三法(平成21年6月5日法律第48号、第49号、第50号、政府提案)

消費者の利益保護を図るために消費者庁を平成21年に創設されました。

 

〔不動産取引における反社会的勢力の排除〕

「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」 (平成4年3月1日施行)、

「組識的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」(平成12年2月1日施行)、

「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」

(平成19年6月19日犯罪対策閣僚会議幹事会申し合わせ) が定められました。

 

経済活動や国民生活からの暴力団等の反社会的勢力の排除の必要性の高まりを受けて、

平成23年4月までに46都道府県でぃわゆる暴力団排除条例が制定されました。

 

とりわけ暴力団等の反社会的勢力は不動産取引に関与する可能性が高いため、

反社会的勢力の排除を推進することを目的に、

平成23年6月不動産流通4団体が、売買、媒介、賃貸借の各契約書のモデル条項として

「暴力団等の反社会的勢力の排除条項」を定めました。

 

①契約前に当事者又はその役員が反社会的勢力ではなぃことを告知、確約させ、

契約履行までに一定の反社会的行為を行わないこと、

取引物件を反社会的勢力の事務所等の活動拠点に供しないことを確約させること

②契約当事者の一方が告知義務その他の義務違反があった場合には

相手方は無催告解除できること

③解除された場合には、違約金(売買代金の2割相当)等の支払い義務を負わせることを柱としました。

 

参考文献:国立国会図書館三訂版「逐条解説」宅地建物取引業法より

 

 

 

 

 

筆者:大脇和彦プロフィール

愛媛県松山市生まれ
マンションデベロッパー、会計事務所を歴して独立
不動産コンサルティングとエージェント業務が主体。近年は太陽光発電所開発運営も
趣味は、土地巡り・街巡り・山巡りを兼ねたドライブ(得意笑)、筋トレ(昔はオタク)
好きなこと言葉・・・積小為大、虚心坦懐