宅地建物取引業法はどのような理由で作られたのか?2. 度重なる業法改正(8)
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宅地地建物取引主任者から宅地建物取引士へと名称変更
(15) 第13次改正 (平成26年6月25日法律第81号、 議員提案)
宅地建物取引主任者は、
重要事項説明等の事務に従事し
宅地建物の安全な取引に欠かせない役割を
担つていることに鑑み、
名称を宅地建物取引士に改められました。
1.宅地建物取引士の業務処理の原則、
2.信用失墜行為の禁止、
3.宅地建物取引士として必要な知識及び能力の維持向上の努力義務
4.宅建業者による従業者教育の努力義務に関する規定を新設し、
宅地建物取引士の使命と役割を明確にしました。
暴力団排除対策として
宅建業者の免許及び宅地建物取引士の登録に係る欠格事由、
免許の取消事由及び
登録の消除事由に暴力団員等であることを追加し、
暴力団排除条項を整備しました。
(16) 第14次改正 (平成28年6月3日法律第56号、 政府提案)
既存住宅に関する情報提供を充実させ、
既存住宅の流通の促進を図るため、
①媒介契約締結時に建物状況調査(インスぺクション)を実施する者の斡旋に
関する事項を記載して交付すること
②重要事項説明書に建物状況調査の結果の概要等を記載し交付すること
③37条書面に建物の構造耐力上主要な部分等の状況について、
当事者双方が確認した事項を記述し交付することを義務づけました。
そのほかには、
1.媒介業者の委託者に対する売買等の申込みに関する報告義務
2.宅建業者である買主・借主に対しては重要事項説明書の交付のみで、その説明を省略可能
3.消費者保護の強化を図るため、
営業保証金及び弁済業務保証金の還付請求権者から宅建業者を除外
(17) 民法改正に伴う宅建業法の整備
(平成29年6月2日法律第45号、政府提案)
民法(債権関係)改正に伴い、
・重要事項説明書等(法35条1項13号)、
・書面の交付(法37条1項11号)、
・手付の額の制限等(法39条)、・瑕疵担保責任についての特約の制限(法40条1項)
に関する規定が整備されました
(民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第316条)。
(18) 成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化がはかられました。
(令和元年6月14日法律第37号、政府提案。略称:成年後見制度適正化法)
成年被後見人・被保佐人(成年被後見人等)は、
民法で制限行為能力者として規定されるだけでなく、
資格等に関する法律では成年被後見人等であることを理由に
一律に資格・許可付与の拒否や業務から排除する欠格条項が定められていました。
このような欠格条項の存置は、
成年後見制度の利用を躊躇させる要因の一つと指摘されていました。
宅建業法は、他の業務規制法と同様に、
免許の基準、宅地建物取引士の登録の基準等について
成年被後見人等を欠格事由とし(法5条1項旧1号、18条1項旧3号)、
免許の取消事由、
登録の消除事由にもなっていました(法68条1項、68条の2)。
成年後見制度適正化法150条は、
宅建業法の成年被後見人等の欠格事由を削除するとともに、
併せて個別審査規定として、
宅建業者の免許については、
「心身の故障により宅地建物取引業を適正に営むことができない者として
国土交通省令で定めるもの」 (法5条1項10号)、
宅地建物取引士の登録については、
「心身の故障により宅地建物取引士の事務を適正に行うことができない者として
国土交通省令で定めるもの」(法5条1項12号)等を設けました。
参考文献:国立国会図書館三訂版「逐条解説」宅地建物取引業法より
筆者:大脇和彦プロフィール
愛媛県松山市生まれ
マンションデベロッパー、会計事務所を歴して独立
不動産コンサルティングとエージェント業務が主体。近年は太陽光発電所開発運営も
趣味は、土地巡り・街巡り・山巡りを兼ねたドライブ(得意笑)、筋トレ(昔はオタク)
好きなこと言葉・・・積小為大、虚心坦懐