不動産取引における仲介とは何か

 

不動産仲介手数料を節約、削減したい方向けに仲介サービスを提供しているトータルマネジメントです

 

 

1.不動産売買と仲介

 

不動産取引の契約形態には

不動産売買と賃貸借があります。

 

売買は、売主と買主との間で種々な取引条件について

交渉を経て合意に達し契約が成立します。

 

実際の不動産売買では、

売主、買主自らが売り物件や買い手を探し、

直接取引交渉して売買契約を締結するような”直取引”はほとんどありません。

 

通常は、売主と買主の間に契約当事者の一方または

双方から委託を受けた仲介業者(宅建業者)が介在します。

 

売主が所有する不動産を売却したいときは

仲介業者に対し売却仲介を委託し、

買主が不動産を買受けたいときは

仲介業者に対し買受け仲介を委託します。

 

仲介業者は、

いずれの仲介委託を受けたときも、

取引物件に関する資料収集、

物件調査、価格査定、現地案内、

取引条件の交渉・調整等、売買契約成立に向けて業務を進めます。

 

売買の合意に達する段階に至ると、

仲介業者は、取引物件に関し

重要事項説明書の交付・説明、売買契約書の作成・交付(法35条、37条)、

売買契約締結の立会いをはじめ代金決済、

登記手続、引渡しという一連の履行手続にまで関与します。

 

このほか、買主が売買代金を調達するために

銀行融資を利用する場合、

仲介業者は提携する金融機関を紹介したり

融資手続の助言等を行うこともあります。

 

また、登記手続きのために司法書士を紹介、

手配することもあります。

 

仲介業者は、委託者との間で

宅地建物の売買に関して仲介(媒介)契約を締結したときは、

遅滞なく、宅建業法所定の書面

(通常は媒介契約書と呼ばれるもの)を作成して、

委託者にこれを交付しなければなりません(法34条の2)。

 

 

不動産売買における取引の流れは次のようになります。

 

 [売却仲介の場合]                [買受仲介の場合]

① 売主(委託者)から            ① 買主(委託者)から

  売却相談、物件情報入手            物件買受の相談

   ↓                      ↓    

② 現地確認、物件調査、価格査定         ② 売物件の探索

   ↓                      ↓    

③ 販売活動(買主の探索)           ③ 現地案内、物件調査、価格査定

 広告、物件登録

   ↓                      ↓ 

    →   ④ 取引交渉(条件調整)   ←

          ↓ 売渡承諾書・買付証明書の差し入れ

          ↓ 融資手続きの検討

          ↓ 売買契約書案の検討

         ⑤ 重要事項説明書の説明、交付(法35条の書面)

          ↓  

      ⑥ 売買契約の締結

         ↓ 契約書の交付

         ↓ 融資手続き 

            ↓ 司法書士の手配

            ↓ 取引完了の立会

      ⑦ 契約の履行(代金の支払,所有権の移転、引渡) 

 

 

2. 不動産賃貸借と仲介

 

不動産賃貸借においても、

貸主が自ら借主を探したり、

借主が自ら賃貸物件を探すことはほとんどなく、

仲介業者に賃貸仲介を委託するのが通例です。

 

しかし、不動産賃貸借における

仲介業者の関与の仕方は不動産売買とは異なります。

 

不動産売買の売却仲介では、

仲介業者は売主の希望する取引条件での売却に尽力し、

買受け仲介では、

買主の希望する取引物件を探索します。

 

売主と買主が互いに希望する

取引条件に開きがあることから、

仲介業者が相手方と協議、

交渉し、他方で委託者に報告、相談しながら、

当事者双方の条件調整を図り、

合減に達すれば、

売主と買主は売買契約締結のために出向いて契約書に調印します。

 

建物貸貸借、

とりわけ居住用建物の賃貸仲介では、

通例、

貸主が仲介業者に一定の貸貸条件(貸料、敷金、礼金等の額) を提示し、

仲介業者は貸主の意向に沿って

倍主の募集、案内、条件交渉等を行います。

 

借主の選定に当たって貸主が

借主に面談することは稀で、ほとんどの場合仲介業者に任せきりにします。

 

契約の締結に際しても、

貸主が調印に出向くことはほとんどなく、

契約書への署名も、

あらかじめ貸主が契約書に署名押印したものを仲介業者が主に示して

これに署名押印させることで済ませ、

借主は、仲介業者を経由した敷金と

初回の賃料の支払と引き換えに仲介業者から鍵の引渡しを受けます。

 

このような遠いが生じるのは、

不動産売買には、

不動産賃貸借と異なり約締結時及び

代金決済時に買主から

売主への手付金・残代金の提供、

売主から貫主への所有権務転登記申請手続書類の交付といった

当事者双方にとって

それぞれ重要な財産権の移転を伴う手続があり、

また、当事者双方ともに

その重要性を認識していることによるものと考えられます。

 

建物賃貸借の場合は、

事業用物件の賃貸は別として、

賃料・敷金等の額は、

売買において授受される金銭に比べると少額であり、

借主は融資を受けてまで

物件を借り受けることは現実にはありえないし、

貸主の関心は誰に貸すかといった人的な要素ではなく

貸主の希望する敷金等の一時金と賃料収入の確保といった収益面に重きが置かれます。

 

このように貸主の関心が

金銭という代替性のあるものの確保であることから、

貸主は、わざわざ自ら借主と面談しなくても

仲介業者にこれを代行させれば足りると考えます。

 

また、大部分の貸主は、

直接借主に対応することが煩わしく、

賃貸借契約書等の書類の作成、

取引手順にも疎く、

専門家である仲介業者に委ねる方が

取引は円滑に進むといえます。

 

加えて、貸主の優位的な地位を反映して、

賃貸条件について種々調整、

交渉しなければならないことも比較的少ないからともいえます。

 

建物賃貸借における仲介業者は

賃貸借の仲介をする立場であって、

貸主の代理業者(代理人)、

賃貸管理業者としての立場ではありませんが、

敷金の預かり、

鍵の授受といった限られた範囲では、

貸主に代わって貸主の賃貸業務を代行補助しているとみるべきです。

 

 

参考文献:国立国会図書館 「不動産取引における仲介」より

 

 

 

 

 

筆者:大脇和彦プロフィール

愛媛県松山市生まれ
マンションデベロッパー、会計事務所を歴して独立
不動産コンサルティングとエージェント業務が主体。近年は太陽光発電所開発運営も
趣味は、土地巡り・街巡り・山巡りを兼ねたドライブ(得意笑)、筋トレ(昔はオタク)
好きなこと言葉・・・積小為大、虚心坦懐