不動産仲介業務の現状と課題 不動產仲介契約とは(その5)付記
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【大審院民事判決抄録 26集 大正9年4月24日562頁】―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
委任ハ当事者双方ノ対人的信用関係ヲ基礎トスル契約ナルヲ以テ自己ノ信任セサル者ヲシテ其事務ヲ処理セシムルコト能ハサルト同時に自己ノ信任セサル人ノ事務ヲ処理スルハ受任者ノ人情トシテへ難キ所ナリトス、 是民法651条1項ニ於テ 「委任ハ各当事者ニ於テ何時ニテモ之ヲ解除スルコトヲ得」ト規定シタル所以ナリ、従テ同条ハ受任者カ委任者ノ利益ノ為メニノミ事務ヲ処理スル場合ニ適用アルモノニシテ其事務処理カ委任者ノ為メノミナラス受任者ノ利益ヲモ目的トスルトキハ委任者ハ同条ニョリ委任ヲ解除スルコトヲ得サルモノト解スルヲ相当トス、蓋シ後ノ場合ニ於テ委任者カ右法条二ヨリ何時ニテモ委任ヲ解除シ得ヘキモノトセムカ受任者ノ利益ハ著シク害セラルルニ至ルヘケレハナリ
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この判決文はやや専門的な文言が含まれていますが、
要点をわかりやすく解説します。
委任とは、当事者同士の信頼関係に基づく契約であり、
自分自身を信じて仕事を処理できる人に任せることができます。
しかし、自己を信じて仕事をすることは困難な場合もあります。
民法の651条1項では、
「委任は当事者それぞれがいつでも解除できる」と定められています。
したがって、この条文は受任者が
委任者の利益のために仕事を処理する場合に適用されます。
つまり、仕事が委任者の利益ではなく、
受任者自身の目的のために行われる場合、
委任者はこの条文に基づいて委任を解除できることが相当とされます。
ただし、後者の場合は、委任者は
いつでも委任を解除できるわけではありません。
受任者の利益が明らかに損なわれる場合に限られます。
要するに、この判決文は
委任契約における解除の条件について述べたものです。
委任者は受任者が自身の利益ではなく、
他の目的のために仕事を処理する場合には、
いつでも委任を解除できるということが示されています。
ただし、受任者の利益に明らかな損害が生じる場合に限ります。
委任は、事務処理という継続的契約であることから、
その解除は、将来に向かって
その効力を生じ遡及するものではありません (民法652条、620条)。
不動産仲介契約では、
その給付が売買成立という一回的給付であることを重視して
解除の効力は遡及するとしますが、
仲介契約は契約成立のための仲介活動が仲介業者の義務であり、
仲介活動が段階的、
継続的に行われていることから
継続的債権関係 (もしくは継続契約)と解し、
解除に民法652条を類推適用して遡及しないとする考え方があります。
参考文献:国立国会図書館 「不動産取引における仲介」より
筆者:大脇和彦プロフィール
愛媛県松山市生まれ
マンションデベロッパー、会計事務所を歴して独立
不動産コンサルティングとエージェント業務が主体。近年は太陽光発電所開発運営も
趣味は、土地巡り・街巡り・山巡りを兼ねたドライブ(得意笑)、筋トレ(昔はオタク)
好きなこと言葉・・・積小為大、虚心坦懐