不動産Q&Aシリーズ 法律相談Vo.2
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広告物掲出可否の調査説明義務
<QUESTION>
私は売主の不動産業者から
4億5,600万円で賃貸ビルを購入しました。
売主からは、屋上広告塔の賃料収入も含めて、
月に210万円の賃料が得られると説明を受けていました。
しかし、購入後に地方の規制によって
屋上に広告を出すことができず、
結果的に広告塔からの賃料収入が得られないことがわかりました。
このような場合、売主に対して損害賠償を請求できるのでしょうか?”
<ANSWER>
売主に対して損害賠償を請求できます。
投資用の不動産を購入する際、
広告塔からの賃料収入が収益に含まれているという
説明を受けて購入する場合、
売主は、地方の規制による広告掲示の制限について調査し、
説明する義務があります。
しかし、この義務に違反している場合は、
売主に対して損害賠償を求めることができます。
【売主の説明義務】
契約を結ぶかどうかの判断には、
当事者が自分で情報を集める責任があります。
しかし、契約交渉の状況や当事者の状況から見て、
片方の当事者が相手に情報を提供することが公正である場合、
交渉相手には売買契約に関連する信義の原則に基づいて、
調査や説明をする責任が生じることがあります。
例えば、売主が不動産業者である場合、
法律によって重要な事項についての調査と説明の義務が課されますが、
その範囲は限られています。
しかし、具体的な取引の状況に応じて、
売主は買主が必要とする情報を
提供する責任が生じることがあります。
最近の東京地裁の判決
(東京地判令和4.3.29-2022WLJPCA 03298001)では、
例えば、広告看板を設置できない地域で、
広告看板からの収入が得られるとして
不動産を販売した場合、
売主である不動産業者に調査や説明の義務違反があるとして、
損害賠償が認められました。
【東京地判令和4.3.29】
[1]事案の概要
(1)「X」という会社と「Y」という不動産業者が、
2017年6月1日に土地と建物を含む不動産を、
Yが売主でXが買主として、売買契約を結びました。
この不動産は賃貸ビルであり、
屋上には広告看板が設置されています。
(2)売買契約の交渉中、
Xが提出した賃貸借契約一覧表(レントロール)には、
広告看板ごとに月額20万円と
月額35万円の収入があると記載されており、
満室想定の賃料収入は月額213万2,589円で、
売買代金に対する表面利回りが7.44%とされていました。
(3)しかし、この不動産は東京都の条例によって、
自分の名前や商号以外の広告を掲示したり、
看板を設置したりすることが禁止されていました。
(4)その後、XはYに対して、
調査や説明の義務違反による損害賠償を請求し、
裁判所はXの請求を認めました。
[2]裁判所の判断
一般的に、投資用不動産を購入する際に重要なのは、
利回りやその土地や建物から得られる収益です。
不動産業者は、取引相手に対して誠実で
信頼できる情報を提供する責任があります。
また、投資用の不動産には、
法律による収益に影響を与える制限がある場合があります。
不動産業者は、このような法律の制限について、
契約相手に説明する責任があります。
しかし、この事案では、Y(不動産業者)が、
X(買主)に対して、
広告看板に関する制限について
適切に説明しなかったことが問題とされました。
広告看板には自分の名前や
商標以外の広告を掲示することが制限されていましたが、
Yはこれについて説明を怠りました。
この行為は、不動産業者としての信頼性や
誠実さに反するものであり、
法律上の義務に違反する不法行為とみなされました。
月刊不動産2024年4月号より抜粋・編集したものです。
愛媛県松山市生まれ
マンションデベロッパー、会計事務所を歴して独立
不動産コンサルティングとエージェント業務が主体。近年は太陽光発電所開発運営も
趣味は、土地巡り・街巡り・山巡りを兼ねたドライブ(得意笑)、筋トレ(昔はオタク)
好きなこと言葉・・・積小為大、虚心坦懐