特集Ver.5 「新紙幣」24年7月号

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【序章】

2024年7月3日に新紙幣が登場し、

慣れ親しんできた福沢諭吉(一万円)、

樋口一葉(五千円)、野口英世(千円)から、

一万円札は日本資本主義の父・渋沢栄一、

五千円札は女子教育家・津田梅子、

千円札は近代日本医学の父・北里柴三郎にバトンタッチされました。

 

新たな顔となった3人を紹介します。

 

 

 

デザイン刷新肖像画になった3人の偉業】

 

■渋沢栄一 ~ 500社に関与した日本資本主義の父

 

渋沢栄一は1840年、埼玉県深谷市に生まれました。

 

一橋家に仕え、財政改善で手腕を発揮。

 

その後、幕府の欧州視察に同行し、先進的な技術や産業に感銘を受けます。

 

明治政府で富岡製糸場の設立に関わり、

その後は民間人として約500社の創設や育成に尽力。

 

「日本資本主義の父」と称され、

2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』でもその生涯が描かれました。

 

 

■津田梅子 ~ 6歳でアメリカ留学した女子教育の先駆者

 

1864年に生まれた津田梅子は、わずか6歳で岩倉遣外使節団と共に渡米。

 

現地で教育を受け、17歳で帰国。

 

日本の女性の地位向上に心を痛め、再渡米して生物学を学びました。

 

帰国後、1900年に女子英学塾(現・津田塾大学)を創設し、

女子高等教育と女性の地位向上に生涯を捧げました。

 

 

■北里柴三郎 ~ 世界を驚かせた血清療法の開発者

 

1853年、熊本県に生まれた北里柴三郎は、

東京医学校(現・東京大学医学部)を卒業後、

ドイツで破傷風の血清療法を確立し、

世界的な研究者となりました。

 

帰国後は伝染病研究所を創立し、

日本最初の結核専門病院や北里研究所、

慶応義塾大学医学部医学科を設立。

 

1894年にはペスト菌を発見し、感染拡大の防止に貢献しました。

 

 

【現金大国日本世界最高峰の偽造防止技術】

 

■新紙幣の目的は偽造防止

 

20年ぶりの新紙幣発行の大きな目的は、偽造防止です。

 

日本は依然として現金大国であり、

コロナ禍でも現金の流通量は減っていません。

 

欧米と比べても現金使用率が高い日本では、

安心して紙幣を使うために、最新の偽造防止技術が欠かせません。

 

新紙幣には、最新の偽造防止技術が盛り込まれています。

 

 

■3Dホログラムの革新

 

新紙幣の五千円札と一万円札には、4種類のホログラムが採用されました。

 

その中でも特筆すべきは、3Dホログラムで、見る角度によって肖像が回転します。

 

これは世界初の技術で、千円札にも初めてホログラムが導入されています。

 

 

■高精細すき入れ

 

「すかし」として親しまれている技術も進化。新紙幣では、肖像の周囲に緻密な連続模様が施されています。

 

 

■その他の工夫

 

紙幣には他にも多くの偽造防止技術が盛り込まれています。

例えば、桜の模様部分を傾けると額面数字が浮かび上がる「潜像模様」や、

傾けると「NIPPON」の文字が見える技術、

カラーコピー機では再現できないマイクロ文字「NIPPONGINKO」が印刷されています。

 

 

■視覚障害者への配慮

紙幣には視覚障害者向けの工夫もされています。

 

識別マークは特殊な「深凹版印刷」でざらつきがあり、

紙幣の種類ごとに触り心地が異なるため、簡単に識別できます。

 

【150年の歴史を持つ国立印刷局】

 

紙幣の偽造防止技術を開発し、紙幣そのものを作っているのは、

1871年に設立された国立印刷局です。

 

デザインや肖像画などのアートも担当しています。

 

国立印刷局には、美大卒の工芸官と呼ばれる専門職員がいて、

デザインや彫刻を手掛けます。

 

新紙幣の肖像画も、工芸官が写真をもとに手彫りで描いたものです。

 

渋沢栄一は60代、津田梅子は30代、北里柴三郎は50代の姿が描かれています。

 

紙幣の裏面も見逃せません。

 

一万円札には東京駅舎、五千円札には藤の花、

千円札には葛飾北斎の「富嶽三十六景(神奈川沖浪裏)」がデザインされています。

 

版画作品としても美しいこれらのデザインに注目してみてください。

 

月刊不動産2024年7月号より抜粋・編集したものです。

 

 

 

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筆者:大脇和彦プロフィール
愛媛県松山市生まれ マンションデベロッパー、会計事務所を歴して独立 不動産コンサルティングとエージェント業務が主体。近年は太陽光発電所開発運営も 趣味は、土地巡り・街巡り・山巡りを兼ねたドライブ(得意笑)、筋トレ(昔はオタク) 好きなこと言葉・・・積小為大、虚心坦懐