不動産Q&Aシリーズ  法律相談Vo.5

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相続人申告登記の義務化スタート(2024年4月1日より)


相続登記との違いとは何か?

 

※今回はできるだけ分かりやすく記事の内容をQ&A方式により大幅に書き換えています。

 

 

<質問1>

 

相続登記と相続人登記の違いがよく分かりません。わかりやすく解説してください。

 

<回答1>

 

相続登記と相続人申告登記は、どちらも不動産の相続に関する手続きですが、内容や目的が異なります。

 

  1. 相続登記


概要:

相続登記は、不動産を正式に相続人の名義に変更するための手続きです。

 

具体的には、不動産の所有者が亡くなった場合、

その不動産を相続する人が、法務局に申請して所有権の名義変更を行います。

 

必要な状況:

・ 遺産分割協議が行われ、不動産の相続人が決まった場合。

 

・ 法定相続分に従って不動産を分割する場合。

 

手続きの流れ:

  1. 遺産分割協議を行い、相続人全員の同意を得る。
  2. 必要な書類(遺言書、戸籍謄本、住民票など)を揃える。
  3. 法務局に所有権移転登記を申請する。

 

義務化:

相続登記は2024年4月1日から義務化されており、

相続人は相続が発生してから3年以内に登記を申請しなければなりません。

 

  1. 相続人申告登記

 

概要:

相続人申告登記は、

相続人が自分が相続人であることを法務局に申告するための手続きです。

 

この手続きを行うことで、相続登記をしなくても、

相続登記の義務を果たしたとみなされます。

 

必要な状況:

・ 遺産分割協議がまだ行われていない場合。

・ 法定相続分に従ってすぐに名義変更をする必要がない場合。

 

手続きの流れ:

  1. 相続人が法務局に自分が相続人であることを申告する。
  2. 必要な書類(戸籍謄本、住民票など)を提出する。

 

注意点:

・ 相続人申告登記は、遺産分割協議を経て不動産を取得する場合には利用できません。

・ 相続人申告登記は、相続登記の代わりにはならず、最終的には相続登記を行う必要があります。

 

 

 3.まとめ

 

・ 相続登記:不動産の所有権を正式に相続人の名義に変更する手続き。

遺産分割協議が必要で、義務化されている。

 

・ 相続人申告登記:相続人であることを法務局に申告する手続き。

遺産分割協議がまだ行われていない場合などに利用できる。

 

どちらの手続きを行うかは、相続の状況や進行具合によって異なります。

 

 

 

<質問2>

 

そもそも相続登記との違いが分かりにくい相続人申告登記ですが、

どうしてこのような制度を政府は導入しようとするのですか?

 

<回答2>

 

相続登記と相続人申告登記が導入された背景には、

政府が解決しようとする複数の社会問題があります。

 

 

  1. 所有者不明土地の増加

問題点:

 

・ 所有者が亡くなった後、相続登記が行われないと、

誰がその土地の所有者なのか分からない「所有者不明土地」が増えます。

 

・ これにより、土地の利用が進まなかったり、

公共事業や民間取引に支障が出たりする問題が発生します。

 

 

解決策:

 

・ 相続登記の義務化

相続が発生したら、相続人が必ず登記を行うようにすることで、

所有者不明土地を減らし、土地の利用を促進します。

 

 

  1. 土地の管理や利用の効率化

 

問題点:

・ 所有者が不明だと、土地の管理が困難になり、

荒れ地や不法投棄の問題が発生しやすくなります。

 

・ また、相続が発生しても登記を行わないことで、

複数の相続人間でのトラブルが発生する可能性も高まります。

 

 

解決策:

・ 相続登記:相続人が誰かを明確にすることで、

土地の管理や利用がスムーズに行えるようになります。

 

 

  1. 税収の確保

 

問題点:

 

・ 所有者が不明な土地や、相続が完了していない土地は、

税収の管理や徴収が難しくなります。

 

 

解決策:

 

・ 相続登記の義務化:相続登記が義務化されることで、

土地の所有者が明確になり、固定資産税などの税収を適切に確保することができます。

 

 

  1. 相続手続きの簡素化

 

問題点:

・ 相続登記の手続きは煩雑で、多くの人が手続きを避けがちです。

 

特に、法定相続分を超える分割や、遺産分割協議が必要な場合は手続きがさらに複雑になります。

 

 

解決策:

 

・ 相続人申告登記:相続人が自分が相続人であることを申告するだけで、

一時的に相続登記の義務を果たしたこととみなすことができる制度を設けることで、

手続きを簡素化し、相続人の負担を軽減します。

 

 

5.まとめ

 

政府が相続登記と相続人申告登記を導入する理由は、以下の問題を解決するためです:

・ 所有者不明土地の増加防止

・ 土地の管理や利用の効率化

・ 税収の確保

・ 相続手続きの簡素化

 

これらの制度は、相続に伴う不動産の管理や利用をスムーズにし、

社会全体の利益を守るために設けられています。

 

 

【相続人申告登記制度の趣旨はこれ!】

 

相続人が複数いて遺産分割協議がスムーズに進まない場合、

相続人の一人として登記を行うように求めるのが、

相続登記および相続人申告登記の制度の趣旨です。

 

 

【具体的なメッセージはこれ!】

 

政府からのメッセージは、「遺産分割協議が進まなくても、

自分が相続人であることを登記しなさい(相続人申告登記)。

 

そうしないと罰金が科される可能性があります」というものです。

 

これにより、相続人全員が協力して迅速に登記を行うように促し、

所有者不明土地の増加を防ぎ、

不動産の管理や利用の効率化を図ることが目的です。

 

※誰か1人でも登記によって法定相続人が分かれば、役所は課税の通知が出来るというメリットがあると思われます。

 

このように、相続登記および相続人申告登記の制度は、

相続に伴う不動産の所有者を明確にするために設けられています。

 

 

月刊不動産2024年7月号より抜粋・編集したものです。

 

 

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筆者:大脇和彦プロフィール
愛媛県松山市生まれ マンションデベロッパー、会計事務所を歴して独立 不動産コンサルティングとエージェント業務が主体。近年は太陽光発電所開発運営も 趣味は、土地巡り・街巡り・山巡りを兼ねたドライブ(得意笑)、筋トレ(昔はオタク) 好きなこと言葉・・・積小為大、虚心坦懐