ハザードマップ解説Ver.2「自然災害の種類とハザードマップの留意点」23年新年号
ハザードマップ解説 Ver.2
東京の災害リスクの傾向と地域の特性 ─ 千代田区・港区─
全日本不動産協会会員の不動産業者に向けた
専門誌の記事を一般個人向けにわかりやすく要約し直して、ブログにしています。
【序章】
前回(ハザードマップ解説Ver.1)では
東京都内で活用できる各種ハザードマップを紹介した。
今回はまず東京都内全域の地形・災害リスクの傾向を説明したのち、
東京都内の主要な市区における災害リスクの傾向と、
ハザードマップからみた地域の特徴について順に解説していきたい。
今回はまず千代田区と港区から解説する。
1点追加の話題提供として、
東京都は3月24日、2022年に10年ぶりに改訂された、
首都直下地震の被害想定について閲覧ができる
「東京都被害想定デジタルマップ」の公開を開始したので紹介したい。
これは、都心南部直下地震、多摩東部直下地震などの想定地震ごとの震度、
液状化危険度、急傾斜地崩壊危険度ランク、
建物全壊棟数、焼失棟数などと、津波の最大津波高、
最大浸水深について地図上に表示して閲覧することができるシステムである。
地震関連のリスク情報は重要事項説明の際の説明義務項目には該当しないが、
物件の地震リスク把握のための参考情報とすることができる。
東京都内の地形と災害リスクの特徴についてお話ししましょう。
【東京都内の地形と災害リスクの特徴】
私たちが住む日本の地形は、海から山にかけてさまざまな特徴があります。
東京都内も例外ではなく、地形によって災害リスクが異なります。
東京都は大きく分けて、海沿いの埋立地、平坦な低地、
台地、丘陵地、そして山地といった地形が広がっています。
それぞれの地形において、地震や洪水、高潮、土砂災害などのリスクが異なるため、
地域ごとの特性を知ることは非常に重要です。
―埋立地と低地―
東京湾に面した埋立地は、液状化や高潮のリスクが高い地域です。
また、低地は洪水の危険性が高く、特に荒川や多摩川、
そして神田川沿いなどでは、洪水が発生しやすい傾向にあります。
これらの地域は、地震の際にも地盤が揺れやすく、被害が広がる可能性が高いです。
―台地と丘陵地―
東京都の台地は比較的災害リスクが低いとされていますが、
境界部分やくぼ地では、内水氾濫や崖崩れが発生する可能性があります。
また、台地内にも軟弱な地盤が存在することがわかっており、油断はできません。
丘陵地は起伏が大きく、大規模な盛土造成地が存在することもあり、
土砂災害のリスクが高い場所です。
―山地と島しょ部―
東京都内でも山地が広がる地域や島しょ部では、
土石流や洪水のリスクが高まります。
また、火山が存在する島しょ部では、
火山噴火による災害リスクも考慮する必要があります。
1.千代田区の災害リスクとハザードマップ
千代田区は、東京都の中心部に位置し、西側には武蔵野台地が広がり、
東側には東京低地が広がっています。
区内には神田川が流れ、地形的に低地と台地が交差するため、
洪水や土砂災害のリスクが存在します。
―洪水・高潮リスクー
千代田区では、洪水や高潮による浸水が想定されており、
特に神田川沿いの神保町や飯田橋、大手町周辺では浸水リスクが高いです。
また、日比谷や新橋周辺でも、高潮による浸水が想定されています。
―土砂災害リスクー
千代田区内には、土砂災害警戒区域が41カ所、
特に危険な土砂災害特別警戒区域が30カ所指定されています。
特に、永田町や紀尾井町、飯田橋付近など、
低地と台地が交差する場所では、土砂災害のリスクが高まります。
2.港区の災害リスクとハザードマップ
港区は、千代田区と同様に武蔵野台地の東端に位置しており、
東側には海岸沿いの低地が広がっています。
特に、埋立地や古川沿いの谷底低地では、
洪水や高潮、津波による災害リスクが高い地域です。
―洪水・高潮リスクー
港区では、古川沿いの浜松町や芝公園、麻布十番などで浸水リスクが高く、
高潮や津波の影響も受けやすい地域です。
また、埋立地を中心に液状化のリスクも考慮する必要があります。
―土砂災害リスクー
港区内には、土砂災害警戒区域が208カ所、
特に危険な土砂災害特別警戒区域が141カ所指定されています。
特に、三田や高輪、赤坂、六本木など、台地と低地の境界部分では、土砂災害のリスクが高まります。
3.まとめ
東京都内は、地形によってさまざまな災害リスクが存在しています。
自分が住んでいる地域の地形や災害リスクを把握し、
適切な対策を講じることが重要です。
また、ハザードマップを確認して、災害に備えることをお勧めします。
不動産東京2023年新年号より抜粋・編集したものです。
愛媛県松山市生まれ
マンションデベロッパー、会計事務所を歴して独立
不動産コンサルティングとエージェント業務が主体。近年は太陽光発電所開発運営も
趣味は、土地巡り・街巡り・山巡りを兼ねたドライブ(得意笑)、筋トレ(昔はオタク)
好きなこと言葉・・・積小為大、虚心坦懐