不動産媒介契約とは何か(その3)
不動産仲介手数料を節約、削減したい方向けに仲介サービスを提供しているトータルマネジメントです
5.媒介と立会・代理・管理
◆媒介と立会
売買契約や賃貸借契約が締結される際に、
当事者以外の者が立ち会うことがあります。
これは契約締結の場に立ち会い、
後日の証拠とするための行為であり、
契約締結行為を見届けるものです。
以前の不動産媒介では、媒介業者が立会人として契約書に記名押印していました。
◆媒介と代理
分譲マンションの販売では、
宅建業者が売主から販売代理業務の委託を受け、
顧客と契約交渉し、
重要事項説明書を交付・説明し、
売買契約を締結し手付金を受領する代理業務を行います。
代理業者が売主に代って買主と契約を締結することで売買契約が成立します。
ただし、代理業者には契約解除権限は一般的に与えられません。
居住用の建物賃貸借では、
契約締結時には媒介業者が賃貸借契約書に借主の署名(記名)押印を受け、
それを貸主に提出し貸主が署名(記名)押印することが一般的です。
媒介業者が貸主を代理して契約を締結するケースは少ないです。(434)
なお、媒介と代理では報酬の算定方法が異なります(報酬告示第三)。
◆媒介と管理
賃貸管理業務は、物件の維持保全、
賃料集金、契約更新、苦情処理、退去手続(原状回復、敷金精算)などを含む管理業務であり、
これを専門に行う者は管理業者と呼ばれます。
賃貸管理業務の範囲は事案によって異なります。
賃貸管理業は、宅地建物取引業には該当せず、
宅建業法の免許は必要ありません。
宅建業者が賃貸マンションの空室を埋める場合、
媒介業務として借主の募集や契約交渉、
重要事項説明書の提供・説明、賃貸借契約の締結、引渡しを行います。
賃貸契約締結後の集金や苦情対応、退去時の敷金精算などは管理業務となります。
令和2(2020)年6月19日に賃貸住宅の管理業務には「賃貸住宅管理業法」が適用され、
事業を営む者は国土交通大臣の登録が必要となりました。
規制対象は賃貸住宅であって、事務所ビルや商業施設は対象外で、
また、管理戸数が200戸未満でも対象外となりました。
区分所有建物の管理には「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」が適用されます。
媒介と管理の区別が争点となる場合があります。
契約締結時に宅建業者が借主から賃料や敷金を預かり、
貸主に損害を与える場合は媒介契約上の不履行または不法行為とされ、
宅建業法の監督対象となります。
一方、賃貸管理業務として預かった敷金を費消し
貸主に損害を与える場合は宅建業法は適用されません。
【紛争事例】
賃貸借終了時に借主と費用精算するため敷金を預かったその媒介業者が破産しました。
貸主は媒介業者に対する敷金交付請求権を行使しようと
宅地建物取引業保証協会に申し立てました。
しかし、この紛争は媒介業者に
「賃貸借契約の終了時の精算と借主への返還までも委託する」 準委任契約であり、
賃貸借契約の締結に伴う債権とは言えず、
そのため宅建業法64条の8第1項に該当する
「宅地建物取引業に関する取引により生じた債権」には含まれないと判断されました
(東京地判令元・6・25WJ: RETIO 118号120頁)。
参考文献:国立国会図書館 「不動産媒介契約の要点解説」より
筆者:大脇和彦プロフィール
愛媛県松山市生まれ
マンションデベロッパー、会計事務所を歴して独立
不動産コンサルティングとエージェント業務が主体。近年は太陽光発電所開発運営も
趣味は、土地巡り・街巡り・山巡りを兼ねたドライブ(得意笑)、筋トレ(昔はオタク)
好きなこと言葉・・・積小為大、虚心坦懐