特集Ver.3 空き家の放置で税金が6倍!? ~法改正で「管理不全空き家」が減税対象外に~

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【序章】

 

 

2023(令和5)年12月に固定資産税の減税制度に関する法改正が施行され、

新しく「管理不全空き家」という分類が定義されました。

 

法改正の背景や従来からある「特定空き家」との違いと空き家対策について解説します。

 

 

【なぜ改正されることになったのか?】

 

 

最近、空き家が増えている問題が深刻化しています。

 

そこで政府は、2015年に「空き家対策法」という法律を作りました。

 

この法律では、周囲に悪影響を与える空き家を「特定空き家」として、

固定資産税の優遇措置から外すなどの対策を行ってきました。

 

しかし、それでも空き家問題は解決されておらず、

2030年には使用されていない空き家が470万戸にも達する見込みです。

 

これを受けて、政府はさらなる対策が必要だと判断し、

2023年12月13日に「改正空き家対策法」を施行しました。

 

この改正法では、空き家を有効活用するための規制緩和が行われる一方で、

「管理不全空き家」という新しいカテゴリーが設けられました。

 

これにより、固定資産税の優遇措置から外される空き家の範囲が広がりました。

 

 

【「特定空き家」と「管理不全空き家」の違い】

 

 

「特定空き家」とは、「空き家」の中でも周りの安全や衛生、

景観などに悪影響を与える状態になっているものを指します。

 

例えば、屋根が壊れていて飛んできそうな空き家や、

木が倒れそうな空き家が該当します。

 

このような空き家は「特定空き家」として認定される可能性が高いです。

 

一方、「管理不全空き家」は、そこまでひどくはないものの、

窓や壁が壊れているなど管理が不十分な空き家を指します。

 

このまま放っておくと、いずれ「特定空き家」になる可能性があります。

 

「管理不全空き家」は、良い状態の空き家と「特定空き家」の間に位置するもので、

早めに手を打っておきたい空き家です。

 

「特定空き家」は、すでに危険や問題が発生していて、

すぐに対処が必要な状態です。

 

しかし、問題が起きてからでは遅いので、

「特定空き家」になる前に対処したいという意図が今回の法改正の背景にあります。

 

 

 

【固定資産税等の負担はどうなる?】

 

 

固定資産税と都市計画税には、「住宅用地の特例」という優遇措置があります。

 

この特例では、住宅として使われている土地にかかる税金が、

通常の1/6または1/3に軽減されます。

 

しかし、この優遇措置から外れると、固定資産税は6倍、

都市計画税は3倍になってしまいます。

 

つまり、特例が適用されなくなると、

大きな税負担が発生することになります(図表1)。

 

 

 

 

【どの時点で優遇措置から除外されるのか?】

 

 

「特定空き家」や「管理不全空き家」として、

固定資産税の優遇措置から外れるまでには、図2のとおり、

いくつかのステップを踏む必要があります。

 

まず、空き家が問題だと判断されると、

市区町村がその所有者に対して適切な対策を取るように助言や指導を行います。

 

この段階で適切に対応すれば、

固定資産税の負担が増えることはありません。

 

しかし、指導を無視して空き家が放置されると、次に勧告が発せられます。

 

勧告を受けても1月1日までに対策が取られない場合、

固定資産税の優遇措置から外され、税負担が増加します。

 

さらに、それでも対策が取られない場合は、より強制力のある命令が出されます。

 

この命令に従わないと、最大50万円の罰金が科されることがあります。

 

それでも対処されないと、市区町村が代わりに空き家を取り壊すなどの措置を行い、

その費用は所有者に請求されます。

 

今回の法改正により、緊急時には命令を経ずに市区町村がすぐに代執行することも可能になりました。

 

これにより、迅速な対応が期待されています。

 

 

【空き家を所有している場合の対策は?】

 

 

空き家をそのまま放置することには、何のメリットもありません。

 

前述の通り、固定資産税の負担が増える可能性があるだけでなく、

近隣住民に迷惑をかけることにもなります。

 

さらに、外壁の落下や火災などで近隣の家や通行人に被害を与えた場合、

賠償責任を負うことも考えられます。

 

ここでは、空き家を所有している場合の対応策をいくつか紹介します。

 

 

空き家バンクに登録する

 

 

空き家バンクは、空き家の所有者と空き家を利用したい人を結びつけるプラットフォームです。

 

これは各地方自治体が設置しているものと、

国土交通省が選定した民間業者が運営する全国版があります。

 

自治体によっては、空き家バンクに登録した空き家に対して補助金を提供する例もあります。

 

 

NPO法人などの管理活用サービスを利用する

 

 

空き家を手放すつもりはないが、自分で管理するのが難しい場合、

空き家の管理代行サービスを提供するNPO法人などを利用することも一つの方法です。

 

これらのサービスは以前から存在していましたが、

改正空き家対策法では、市区町村がこれらの団体を「空家等管理活用支援法人」に指定し、

所有者と利用希望者のマッチングなどの業務が整備されます。

 

 

 

空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を利用して売却する

 

 

国土交通省の調査によれば、

空き家を所有する理由の半数以上が相続によるものです。

 

相続によって取得した空き家は、

一定の条件を満たせば、通常の不動産の売却よりも税負担が軽減される特例があります。

 

この特例は、相続発生後3年目の年末までに売却する必要があるため、

相続した空き家の用途が見つからない場合は、

放置せずに売却するのも有効な対策です。

 

※相続人が3人以上の場合は、特別控除は2,000万円までとなります。

 

 

月刊不動産2024年5月号より抜粋・編集したものです。

 

 

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筆者:大脇和彦プロフィール
愛媛県松山市生まれ マンションデベロッパー、会計事務所を歴して独立 不動産コンサルティングとエージェント業務が主体。近年は太陽光発電所開発運営も 趣味は、土地巡り・街巡り・山巡りを兼ねたドライブ(得意笑)、筋トレ(昔はオタク) 好きなこと言葉・・・積小為大、虚心坦懐