不動産仲介業務の現状と課題  仲介と代理(その1)

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1 意義

仲介と代理とは、 異なる概念である。

 

1代理とは、代理人が本人から、

相手方との契約締結等について代理権を授与され(代理権の授与行為)、

2代理人が本人のためにすることを示して (顕 名)、

3相手方に対して意思表示を行って

売買契約等の法律行為を行い (代理 行為)、

4その法律効果が本人に帰属すること

(本人への法律効果の帰属)をいう(民法99条1項)

 

したがって、代理において、

1人の代理人が同時に利害対立する

当事者双方の代理をすることは

本人があらかじめ許諾している場合を除き、

禁止されている (双方代理の禁止、 民法108条)。

 

仲介(媒介)は、代理と異なり、

当事者本人から契約締結に関する

権限が与えられるわけではなく、

また、当事者本人に代わって相手方に対し、

代理人として意思表示をするものではない。

 

商事仲立に関する事案ではあるが、

仲立は当事者間の契約成立に向けて尽力するものであるから、

仲立人は、自己の名で当事者のために契約を締結したり、

当事者の代理人として契約するものではなく、

仲介と代理とは相容れざるものであって、

同一人が当事者間の契約の締結につき

仲立人であると同時に代理人であることはできない (後掲大判大4. 109)と解され、

立木の売却方を委任する旨の書面が交付された事案において、

代理人として売却を委任したのではなく

売却方の周旋を委託した趣旨であり、

周旋を依頼する場合にも

「委任」の文字を俗用することが少なくないとする(後掲大判大13. 7. 24)。

 

代理と仲介では、その態様、性質、効果、報酬が異なるため、

宅建業法は、宅建業者が

宅地建物の売買・交換・貸借の代理をするのか

仲介をするのかを、

取引の相手方等に明示することを義務づけている (法34条、 取引態様の明示義務)。

 

1 【大判大 4. 10. 9民録21輯1624頁】 ―――――――――――――――――

 

仲立人八他人間ノ商行為ノ媒介ヲ為スヲ業トスルモノナリ、 仲立人ハ当事者間ノ法律 行為ノ媒介ヲ為スモノナルカ故二仲立人ノ為ス所ハ当事者間ノ契約ノ締結ヲ惹起スヲ目 的トスル働作二存ス、 此働作タルヤ箇ノ場合ノ事情二応シ千差万別ニシテ或ハ当事者 ヲ紹介スルヲ以テ十分ナルコトアルヘク或ハ当事者双方ノ意思表示ヲ伝達スルヲ以テ足 ルコトアルヘク或ハ種種雑多ノ行働ヲ為ササルへカラサルコトアルヘシト雖モ要スルニ 当事者間ノ契約ノ締結ヲ惹起スヲ目的トスル働作ナラサルヘカラス故ニ自己ノ名ヲ以テ 当事者ノ為メニ契約締結シ又ハ当事者ノ代理人トシテ契約ヲ締結スルカ如キハ媒介ヲ 超脱スル働作ニシテ仲立人ノ為ス能ハサル所ナリ、 左レハ仲立人ト代理人トハ相容レサ ル観念ニシテ同一人が当事者間ノ契約締結に付仲立人タルト同時に代理人タルコト能 ハサルハ明瞭ナル所ナリトス

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この判例文によれば、

仲立人は第三者間の商行為の仲介を行う業者でありますが、

同時に当事者間の法律行為の仲介も行うことができます。

 

仲立人が行う仲介作業は、

契約の締結を目的とする場合もあれば、

紹介によって当事者同士の意思疎通を十分に行うこともあり、

また、さまざまな手続きや行動を経て契約の締結を目指す場合もあります。

 

仲立人が自らの名を使って契約を締結する場合や、

当事者の代理人として契約を締結する場合もあり、

それらの行為は仲立人の範囲内に含まれます。

 

仲立人と代理人の役割は相容れる概念であり、

同一人物が仲立人として契約を締結する場合、

同時に代理人としても行動できることが明確に示されています。

 

2 【大判大13, 7.24 法律新聞2308号15頁】―――――――――――――――

〔事案) YはXに対し、立木を2万8800円で売却方を委任する旨の書面を交付した。

代理人として売却委任したのか、

売却周旋の依頼を含むのかが争われた。

 

原審は、Yが Xに本件立木の周旋を依頼したものではなく

代理人として立木を売却することを委任し

報酬を支払う旨約した趣旨であるとした。

 

X が上告した。

 

〔判旨〕 原判決破棄、差戻し。 甲第1号証ニハYカ本件立木ヲ2万8800円ニテ売払方ヲ Xニ委任スル旨ノ記載アリ、 乙第1号証ニハ前記委任ヲ受ケタル立木ニ付テハXカ他 へ売買成立シタルトキハ其ノ運動に対スル実費支払ヲ約諾スル旨ノ記載アリ、面シテ 甲第2号証ハYヨリX宛ノ覚書ニシテ赤倉ノ松林代金手取2万5000円ニテ担任スコト 但其ノ他ハXニ於テ何程ニテモ報酬トシテ支払フ旨ノ記載アリ、 此等ノ記載ニ依リテ YハXニ対シ本件立木ノ売払方ヲ委任シ其ノ代金手取2万5000円超過スル部分ヲ報酬 トシテ支払フヘキ旨ヲ約シタルコト明ニシテ右売払方ノ委任トハYカXニ其ノ代理人 トシテ之カ売却方ヲ委任シタルノミニ非スシテ広ク其ノ売却方ノ周旋ヲ委託シタル超 旨ニシテ之ニ対シ報酬ノ支払ヲ約シタルモノナルコトハ周旋ヲ委託スル場合ニ委任ノ 文字ヲ俗用スル事例勘ナカラサル実験上ノ法則ニ照シテ疑ナキ所ナレハナリ

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この判決によれば、

元の判決を取り消して、

事件を再審議することが決定されました。

元の判決では、

甲と乙の間で立木の売買が行われたことが確認されており、

甲がXに立木の売却を2万8800円で委任したことが記載されていました。

 

また、乙がXに立木を受け取った際に、

運動に対する実費支払いを約束した旨が記載されていました。

 

また、甲とXの間に立木について

2万5000円の報酬を支払う旨が覚書によって確認されていました。

 

しかし、この判決では、

YがXに対して立木の売買委任により得た

2万5000円を超える報酬の支払いを約束していることが明確に示されており、

立木の売買委任とは異なり、

Xに対して立木の売却を委託し、

その売却を周旋する報酬の支払いを約束しているとされています。

 

このような場合は、

委任の文言を俗用することは

一般的な法則に従わない可能性があるため、

再審議が必要とされています。

 

 

 

参考文献:国立国会図書館 「不動産取引における仲介」より

 

 

 

 

筆者:大脇和彦プロフィール

愛媛県松山市生まれ
マンションデベロッパー、会計事務所を歴して独立
不動産コンサルティングとエージェント業務が主体。近年は太陽光発電所開発運営も
趣味は、土地巡り・街巡り・山巡りを兼ねたドライブ(得意笑)、筋トレ(昔はオタク)
好きなこと言葉・・・積小為大、虚心坦懐